丸善株式会社
2007年7月
978-4-621-07877-8
NEDO技術開発機構,産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター
篠原 直秀,納屋 聖人,中西 準子
篠原 直秀(全体),納屋 聖人(第Ⅷ章 2.ヒト健康への影響)
篠原 直秀(全体),納屋 聖人(第Ⅷ章 2.ヒト健康への影響)
要約 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
第Ⅰ章 序論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
第Ⅱ章 基本的情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
第Ⅲ章 排出と環境動態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
第Ⅳ章 環境中濃度分布および発生源寄与の推定 ・・・・ 85
第Ⅴ章 室内濃度分布および発生源寄与の推定 ・・・・・ 117
第Ⅵ章 暴露評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 153
第Ⅶ章 体内動態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 163
第Ⅷ章 有害性評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 175
第Ⅸ章 リスクの判定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 201
第Ⅹ章 リスク削減対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 209
第XI章 結論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 233
第XII章 外部レビュアーからのコメントと対応 ・・・・・・・・・ 238
付録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 273
参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 279
索引 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 307
310 ページ
本書は,アセトアルデヒドによるヒト健康影響および生態影響を対象としたリスク評価書である.リスク評価の目的は,アセトアルデヒドへの暴露によるヒト健康リスクおよび生態リスクの現状をできる限り定量的に把握し,排出削減対策の必要性を検討することである.また,大気中および室内へのアセトアルデヒド発生源の寄与を見積もり,対策効果も検討した.
アセトアルデヒドの吸入暴露による非発がん性の有害影響については,リスクの懸念が小さく対策の必要はないと判断された.アセトアルデヒドの吸入暴露による発がんリスクは,10-5を超えている人口が非常に大きいという結果が得られたが,発がんメカニズムは解明されていないから,これは大きな不確実性を含んだ結果である.対策コストと発がんメカニズムの解明のための試験コストを比較した結果,まずは腫瘍発生メカニズムの解明などのアセトアルデヒドによる発がん性にかかわる詳細な試験を行い,その有害性試験結果に基づいて対策を講じていくべきだと結論付けられた. アセトアルデヒドの経口暴露にかかわるリスクについては,有害性データの不足のために評価できなかった.ただし,アセトアルデヒドは食品中に多く含有されているために経口暴露量は大きく,また今後食品添加物としての使用が検討されていることからも,経口暴露によるリスク評価のために,アセトアルデヒドの経口暴露による有害性評価のための試験をすることが必要と考えられる.また,アセトアルデヒドはアルコール摂取後に体内において生成する量が非常に多いが,飲酒による影響にはアセトアルデヒド以外の影響も含まれることから,飲酒によるリスクは,アセトアルデヒドのリスク評価としては対象外とすべきだと考えられる.